分け目を見たとき、「また白髪が増えている」と感じることはありませんか。
白髪が気になり始めると、白髪染めの回数を増やしたり、黒髪を育てるといわれるシャンプーや美容液を探したりと、私たちはつい「何を足せばいいのか」を考えます。
けれど、はっきり言います!
40代からの白髪ケアは、「良いものを足す」だけでは追いつきません。
紫外線やヘアカラー、頭皮に残った洗浄成分などによって負担が積み重なったままでは、どれだけ高価な美容成分を使っても、その良さを十分に生かせないからなんですよね。
そこで取り入れたいのが、頭皮に何かを足す前に、老化につながる負担を減らす「引き算」の頭皮ケアです。
今回は、酸化ストレスへのアプローチとして注目されている水素と酵素の違い、白髪との関係、40代からの取り入れ方を、リバースエイジング美容家・艶髪ソムリエ協会代表理事の視点からお伝えしますね!
40代の白髪ケアは「足し算」だけでは追いつきません

白髪用のシャンプー、頭皮美容液、育毛剤、サプリメント。今は、髪のための商品がたくさんあります。もちろん、自分に合ったものを正しく使うことは大切です。しかし、その前に見直してほしいことがあります。
それは、今の頭皮にどれだけ負担が残っているかということです。
白髪染めは白髪を隠せても、頭皮環境までは変えられない
白髪染めをすると、その日の髪はきれいになります。けれど、3週間から1か月ほどたてば、根元から白い髪がまた見えてきます。染めているのは、「すでに生えている髪だから」ですよね。
白髪染めが悪いと言いたいわけではありません。私自身も、白髪を隠したい気持ちはよく分かります。ただ、白髪染めだけで白髪の悩みを解決しようとするのは、シミをファンデーションで隠し続けることに少し似ています。
見た目は整えられますが、これから生まれてくる髪の環境まで整えているわけではありません。
さらに、一般的な酸化染毛剤では、髪を明るくしたり染料を発色させたりするために過酸化水素などが使われます。研究では、過酸化水素と染毛剤成分の組み合わせが、皮膚を構成する細胞の酸化ストレスを高める可能性も報告されています。
だからこそ、40代からは「染めるか、染めないか」だけで考えるのではなく、染めながら頭皮を守る視点が必要です。
40代から必要なのは、老化の原因を減らす「マイナスの美容」
美容というと、化粧水をつける、美容液を重ねる、トリートメントで補うなど、何かを足すイメージが強いと思います。
しかし、年齢を重ねてからのケアでは、酸化や炎症、乾燥などの負担をできるだけ減らしてから、必要なものを補うことが大切です。
これが「マイナスの美容」、つまり引き算の考え方です。
例えば、メイクを落とさないまま高価な美容液を塗っても、本来のケアとはいえませんよね。
頭皮も同じです。
紫外線を浴び、カラー剤による負担を受け、シャンプーやトリートメントが十分に流せていない。その状態で次々に美容成分を足しても、遠回りになることがあります。
まず余計な負担を減らし、そのうえで必要なケアを取り入れる。これが、40代以降のリバースエイジングに欠かせない考え方なんです!
白髪が増える頭皮では、何が起きているのでしょうか
水素や酵素の話に入る前に、そもそも髪が黒くなる仕組みを知っておきましょう。仕組みが分かると、なぜ白髪を染めるだけでなく、頭皮を守るケアが必要なのかが見えてきますよ。
髪の色をつくっているのは、毛根にある色素細胞
私たちの髪は、最初から黒い状態でつくられているわけではありません。毛根で髪が育つときに、メラノサイトという色素細胞がつくるメラニン色素を取り込むことで、黒や茶色の髪になります。
そのメラノサイトのもとになるのが、色素幹細胞です。分かりやすく言えば、毛根には髪をつくる工場があり、そこで髪に色をつける担当者が働いているようなものです。

この担当者がうまく働けなくなったり、数が減ったりすると、髪に十分な色がつかず、白いまま生えてきます。
すでに頭皮から伸びている白髪に、頭皮ケアで後から色を入れるわけではありません。見るべきなのは、これから髪がつくられる毛根周辺の環境です。
白髪と酸化ストレスには深い関係がある
体の中では、呼吸や代謝などによって活性酸素が生じています。活性酸素には、体内の情報伝達や防御に必要な働きもあるため、すべてが悪者というわけではありません。
問題になるのは、活性酸素の発生量が増え、体が持つ抗酸化力とのバランスが崩れたときです。この状態を酸化ストレスと呼びます。
酸化ストレスが強くなると、細胞を構成する脂質やたんぱく質、DNAなどにダメージを与えることがあります。

白髪に関する研究でも、白髪や白い毛髪では過酸化水素が蓄積し、メラニンをつくる仕組みに影響を与えている可能性が示されています。また、加齢に伴って毛包内のカタラーゼなどの抗酸化酵素が減少し、酸化ストレスが強まりやすくなることも報告されています。
参考:白髪と過酸化水素、カタラーゼの関係については、ヒトの白髪を調べた研究でも報告されています。
「Senile hair graying: H2O2-mediated oxidative stress affects human hair color」
研究内容をPubMedで確認する
白髪の原因は、遺伝、加齢、ストレス、栄養状態など一つではありません。それでも、黒髪を育てる細胞を守るうえで、酸化ストレスは無視できない要素の一つです。
若い頃と同じケアでは追いつかなくなる
「昔から同じようにカラーをしているのに、最近になって急に白髪が増えた」
そう感じる方は少なくありません。
若い頃は、紫外線を浴びたり、カラーやパーマを繰り返したりしても、それほど頭皮への影響を感じなかったかもしれません。しかし、年齢とともに毛包内の抗酸化防御が弱くなれば、以前と同じ負担でも受け止めきれなくなることがあります。
20代と同じようにカラーをして、同じように紫外線を浴び、同じ洗い方をしていても、頭皮に現れる結果まで同じとは限りません。だから40代からは、今まで以上に「負担を残さないケア」が重要になります。
水素の頭皮ケアは、反応性の高い活性酸素に着目したケア
酸化ストレスへのアプローチとして、近年注目されているものの一つが水素です。
「水素水は聞いたことがあるけれど、頭皮に使う水素は何が違うの?」と思う方も多いでしょう。まずは、水素がどのような性質を持つのかを整理します。

水素が注目されている理由
活性酸素には複数の種類があります。その中でもヒドロキシラジカルは反応性が高く、細胞へのダメージに関わる活性酸素の一つです。
分子状水素に関する基礎研究では、水素がヒドロキシラジカルに反応し、酸化ストレスによる細胞への影響を抑えたことが報告されています。水素は非常に小さく、脂質でできた細胞膜を通過しやすい性質を持つことも、研究対象になっている理由の一つです。
ただし、この研究だけで「水素を頭皮に使えば白髪が黒くなる」と証明されたわけではありません。
それでも、白髪と酸化ストレスの関係が明らかになりつつある中で、反応性の高い活性酸素に着目した水素ケアは、黒髪を育てる環境を守る選択肢として期待されています。
※ここでいう「水素」は分子状水素(H₂)のことです。ヘアカラー剤に使われる過酸化水素(H₂O₂)とは別の物質です。
水素シャンプーは、使うときに水素を発生させる
水素はとても小さく、容器の材質や保存状態によって抜けやすい性質があります。そのため、あらかじめ水素を含ませた水やシャンプーだけでなく、使用する直前に水素を発生させるパウダータイプもあります。
水素パウダーをシャンプーやお湯と混ぜ、その場で水素を発生させて頭皮を洗う方法です。ここで気をつけてほしいのが、「水素パウダー」と書いてあれば何でも頭皮に使えるわけではないことです。
入浴剤として浴槽に入れるものと、髪や頭皮に使用することを前提に設計されたものでは、配合成分や使い方が異なります。

価格だけを見て選ばず、髪や頭皮に使用できる製品か、適切な使用量が示されているかを必ず確認してくださいね!
水素シャンプーで白髪が黒くなることはある?
おそらく、ここが一番気になるところですよね。水素シャンプーは白髪染めではないため、使ったその日に白髪が黒く染まることはありません。
一方で、頭皮ケアを続けた方の中には、白髪の根元に色が見られたり、以前ほど白髪が目立たなくなったりした事例があります。水素を使ったホームケアを継続し、美容室で白髪染めを見送るほど白髪が気にならなくなった例も共有されています。
とはいえ、色素幹細胞の状態や遺伝、年齢、白髪になってからの期間、紫外線やカラーの頻度などによって、結果は変わります。
ただ、「白髪は年齢だから何をしても変わらない」と最初から諦める必要もありません。
水素ケアだけに頼るのではなく、紫外線対策やカラー方法、すすぎ方まで見直し、黒髪をつくる細胞にこれ以上負担をかけない環境を整えることが大切です。
酵素の頭皮ケアは、過酸化水素などの酸化負担に着目します
水素と並んで、引き算の頭皮ケアに取り入れられているのが酵素です。ただし、ここでいう酵素は、発酵飲料や酵素ドリンクとは役割が異なります。
水素と酵素は、どちらも酸化に着目したケアですが、同じ働きをするものではありません。
ここでいう酵素は、酵素ドリンクとは違う
酵素は、体内で起こる化学反応を助けるたんぱく質です。私たちの体内にも多くの酵素があり、その一つにカタラーゼがあります。カタラーゼは、過酸化水素を水と酸素に分解する働きを持つ抗酸化酵素です。
白髪の毛包では、カタラーゼの発現や活性が低下し、過酸化水素が蓄積していることが報告されています。そのため、白髪と酸化ストレスを考えるうえで、カタラーゼは重要な存在です。

頭皮用の酵素ケアでは、過酸化水素を分解するカタラーゼの性質に着目した製品もありますよ♪
ヘアカラー後の頭皮に残したくないもの
一般的な酸化染毛剤では、髪のメラニンを分解し、染料を発色させるために過酸化水素が使われます。髪を染めるためには必要な成分ですが、その働きが終わった後まで頭皮に残したいものではありません。
とくに、頭皮の根元からベタッとカラー剤を塗り、十分にすすげていない場合は、頭皮への負担が大きくなりやすいと考えられます。
白髪染めをしたら、髪の色だけを見て終わりにしないこと。
頭皮に薬剤を残さないよう十分にすすぎ、美容室では頭皮に薬剤をつけずに根元ギリギリから塗る「ゼロテク」が可能か相談することも、引き算のケアになります。
「ゼロテク」については、こちらをご覧ください。

酵素ケアはシャンプーとトリートメントの間に取り入れる
酵素を使った頭皮ケア製品は、シャンプーで汚れを洗い流した後、トリートメントをつける前に使用するタイプがあります。基本の順番は、シャンプー、すすぎ、酵素ケア、すすぎ、トリートメントです。
シャンプーは皮脂や汚れを落とし、酵素ケアでは目に見えない酸化負担にアプローチする。それから髪の補修や保湿を行うという考え方なんですよ。
水素と酵素、白髪ケアにはどちらを選べばいい?
水素と酵素の違いを知ると、「結局、私はどちらを使えばいいの?」という疑問が出てくると思います。答えは、頭皮の状態や日頃受けている負担によって変わります。誰にでも同じものを、同じ頻度で使えばよいわけではないんです。
水素と酵素は、同じ活性酸素ケアではない
水素は、ヒドロキシラジカルのような反応性の高い活性酸素に着目したケアです。一方、カタラーゼなどの酵素を使ったケアは、過酸化水素を分解する働きに着目しています。
例えるなら、水素は反応性の高い活性酸素に狙いを定めるケア、酵素は頭皮に残りやすい酸化負担をこまめに片づけるケアです。

白髪や紫外線による酸化ダメージが気になる場合は水素、カラーの頻度が高く、頭皮の赤みやくすみが気になる場合は酵素というように、頭皮の状態に合わせて考えます。
どちらか一つしか使えないわけではありません。水素を使う日、酵素を使う日、何も使わず頭皮を休ませる日と、交互に取り入れる方法もあります。
頭皮に赤みやかゆみがある人は、先に状態を確認する
白髪が気になるからといって、すべての方がすぐに水素や酵素を使うべきとは限りません。
頭皮に広い範囲の赤みや湿疹がある、強いかゆみや痛みがある、出血しているという場合は、スペシャルケアを重ねる前に皮膚科で状態を確認してください。
また、敏感肌の方は、頭皮の一部で試してから使うことも大切です。
「白髪を早く何とかしたい」と思うほど、ついたくさん使いたくなりますよね。
でも、頭皮が荒れてしまえば、黒髪を育てる土台から遠ざかります。早く変えたいときほど、今の頭皮を見て、必要なケアだけを選びましょう。
水素と酵素の頭皮ケアで多かった質問
水素や酵素は、一般的なシャンプーやトリートメントとは使い方が異なるため、初めての方から多くの質問をいただきます。
ここでは、とくに多かった疑問にお答えします。

毎日使ったほうが、白髪に早く変化が出ますか?
たくさん使えば、その分早く変化するとは限りません。
水素パウダーは、使用量やシャンプーと混ぜる順番を守る必要があります。製品によっては、水分と反応するときに熱が生じるため、自己流で大量に使うのは避けてください。
酵素ケアも、頻繁に使うと乾燥を感じる方がいます。
白髪ケアは、一度に強いケアをするよりも、毎日の負担を減らしながら続けることが大切です。
市販の安い水素パウダーでも代用できますか?
「水素パウダー」という名前だけで選ぶのはおすすめできません。浴槽に入れる入浴用の商品と、髪や頭皮に使うための商品では設計が異なります。
成分表示、使用できる部位、使用量、注意事項を確認し、髪や頭皮への使用が明記された製品を選んでください。安いか高いかだけではなく、どこに使うためにつくられたものなのかを見ることが重要です。
水素と酵素は両方使わないと意味がありませんか?
両方が必須というわけではありません。
白髪は気になるけれど、頭皮に目立つ赤みがない方と、カラーを繰り返し、頭皮が赤くなっている方では、優先したいケアが変わります。
最初から商品をそろえることより、自分の頭皮に何が起きているかを知ることが先です。
自分では頭皮の色や毛穴の状態を確認しにくいため、頭皮診断を受けたり、髪と頭皮の知識を持つ専門家に相談したりすると、遠回りを防げます。
水素と酵素を使っても、洗い残しがあれば遠回りです
ここまで水素と酵素についてお伝えしてきましたが、スペシャルケアよりも先に整えてほしいことがあります。それは、毎日のシャンプーとすすぎ。
少し厳しく聞こえるかもしれませんが、ここができていない状態で高価なケアを重ねても、思うような結果につながりにくくなってしまうんですよね。
高価なケアを足す前に、シャンプーをきちんと流す
シャンプーは、泡が見えなくなったら流し終わりだと思っていませんか。実際には、耳の後ろ、生え際、襟足、頭頂部のくぼみなどに、シャンプーやトリートメントが残りやすくなります。
とくに女性は髪が長く、毛量も多いため、シャワーを表面から当てているだけでは、頭皮までお湯が届いていないことがあります。
すすぎの目安は約3分です。
3分は、やってみるとかなり長く感じます。けれど、シャンプーの量を多く使うほど、流すために必要な時間も長くなります。
すすぎができていない頭皮に、次から次へと高価なものを足しても遠回りです。
水素や酵素を使う前に、まずはシャンプー剤を頭皮に残さないこと。それだけでも、頭皮への余計な負担を一つ減らせます。
38度前後のお湯と紫外線対策も「引き算」の一部
熱いお湯で洗うと、すっきりしたように感じます。しかし、熱すぎるお湯は頭皮に必要な皮脂まで奪い、乾燥を招きやすくなります。
頭皮を洗うお湯は、38度前後を目安にしましょう。
また、分け目やつむじは顔よりも高い位置にあり、紫外線を直接浴びやすい場所です。
帽子や日傘、頭皮や髪に使用できるUVケアなどを使い、浴びた後のケアだけでなく、浴びる前に防ぐことも意識してください。
白髪染めを続ける場合も、美容室で「頭皮につけず、根元ギリギリから塗れますか」と相談できます。白髪染めを我慢する必要はありません。染めながら、頭皮にかかる負担を一つずつ減らしていけばよいのです。
白髪を隠すだけのケアから、黒髪を育てる頭皮ケアへ

白髪を見つけたら、すぐに染めて隠したくなる。それは当たり前のことです。けれど、これからの髪を考えるなら、白くなった髪だけでなく、髪が生まれる頭皮にも目を向けてください。
水素と酵素は、どちらも頭皮の酸化負担に着目した「引き算」のケアですが、役割は同じではありません。水素は反応性の高い活性酸素に、酵素は過酸化水素などの酸化負担に着目します。
そして、どちらを使う場合も、土台になるのは毎日のすすぎ、紫外線対策、頭皮に負担をかけにくいカラー方法です。
白髪は、今日ケアを始めたからといって、明日の朝に黒くなるものではありません。でも、「年齢だから仕方ない」と何もせずに過ごすのか、これ以上増やさないために今日から頭皮を守るのかで、数年後の髪には差が生まれます。
まずは、今ある白髪を隠すだけのケアから、黒髪が育つ土台を守るケアへ。
40代の今こそ、頭皮の「引き算」を始めてみてくださいね!
「本気で髪の未来を変えたい」あなたへ
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そして、今日ご紹介した水素や酵素など、髪に特化した商品も展開していますよ。
一般的に当たり前だと思われているヘアケアの中にも、実は髪や頭皮に負担をかけている習慣があります。だからこそ、なんとなく自己流で続けるのではなく、正しい知識を持つことが大切です。
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