分け目を見て、「最近、急に白髪が増えた気がする」。シャンプーをしていると、「前より抜け毛が増えていない?」。そんな変化が気になっていませんか。
白髪や抜け毛が目につくと、まずシャンプーを変えたり、頭皮用の美容液を探したり、「髪に何をつければいいの?」と考えますよね。でも、その前に一つ聞かせてください。昨日、何時間眠りましたか?
毎日5時間くらいしか寝ていないのに、「白髪にいいサプリは何?」「どんな美容液を使えばいい?」と探しているとしたら、少し順番が違います。髪も、私たちの体からつくられているからです。年齢を重ねてからの白髪や抜け毛は、頭皮だけではなく、睡眠、ストレス、食事、栄養状態まで一緒に見てほしいんです。
もちろん、「寝不足だから白髪になる」「ストレスがあるから抜け毛になる」と単純に言えるものではありません。白髪には遺伝や加齢など、さまざまな要因があります。それでも、髪を育てているのは毎日のあなたの体です。今回は、髪と睡眠の関係をひも解きながら、「何かを足す」前に見直してほしいインナーケアについてお話しします。
この記事を書いた人

水野志音
リバースエイジング美容家
銀座で、女性のくびれに特化した
美体造形®︎筋膜リリース専門のエステサロンを経営。
単価55,000円という高額メニューにも関わらず、全国から多くのお客様にご来店いただくサロンへと成長。
コロナ感染拡大時には、いち早くサービスのオンライン化に取り組み、エステの新しい形を創り上げる。
さらに、艶髪協会代表理事として、年齢を重ねても艶やかに美しく生きる女性を増やすために、髪の悩みを通して女性の自信と可能性を引き出す活動を行っている。
美しくなることで、自分をもっと好きになり、
その先の人生まで輝かせる女性を増やすために、
美容・学び・活躍の場づくりを続けている。
白髪が気になったら、シャンプーより先に「最近の生活」を振り返って
まず知っておいてほしいのは、白髪は今見えている髪だけの問題ではないということです。頭皮の中にある毛包では新しい髪がつくられ、そこには髪を黒く見せるメラニン色素をつくる細胞や、そのもとになる色素幹細胞も存在しています。
つまり、白髪ケアで本当に見たいのは、今ある白髪だけではなく、これから髪が育っていく環境です。 白髪には遺伝や加齢だけでなく、酸化ストレスなど複数の要因が研究されています。「白髪が増えたから、とりあえず染める」だけではなく、一度、自分の生活そのものにも目を向けてみましょう。

「ストレスで白髪が増えた」は気のせいとも言い切れない
「ものすごく忙しい時期を過ぎたら、白髪が増えていた」。そんな話を聞いたことはありませんか。ストレスと白髪の関係については研究も進んでおり、2020年に科学誌『Nature』に掲載されたマウスの研究では、強いストレスによって交感神経が活性化し、ノルアドレナリンが放出されることで、毛包にある色素幹細胞が急速に消耗する仕組みが示されました。
ただし、これはマウスでの研究です。「人間もストレスを感じたら必ず白髪になる」と証明されたわけではありません。ですから、「仕事が忙しかったから、この白髪は全部ストレスのせい!」と決めつける必要もありません。
でもね、ストレスと髪はまったく関係ない、と片づけてしまうのも違うんです。 ストレスが続けば眠りが乱れ、疲れて料理をする気力がなくなり、食事がパンやおにぎりだけの日が増えることもあります。一つのことだけで白髪になるのではなく、こうした生活の変化がいくつも重なっていくことがあります。
白髪が気になったときこそ、「最近の私は、ちゃんと休めていたかな?」と振り返ってみてください。
睡眠不足だけで白髪になるわけではない。でも、睡眠は無視できない
ここは誤解してほしくないところです。「寝不足=白髪」ではありません。 一晩寝不足だったからといって翌日に白髪が増えるわけではありませんし、たくさん眠れば白髪が黒く戻るわけでもありません。
一方で、睡眠は心身の休養に欠かせません。睡眠不足が続けば疲れが抜けにくくなり、ストレスを感じやすくなることもあります。生活リズムが崩れれば、食事や運動などほかの習慣まで乱れやすくなります。つまり、「睡眠不足が直接白髪をつくる」と考えるのではなく、睡眠・ストレス・食事などが重なって、髪を取り巻く環境に影響すると考えてください。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は個人差を踏まえながら、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。そしてもう一つ、ぜひ知ってほしいのが「睡眠休養感」。簡単にいえば、「朝起きたとき、ちゃんと休めたと感じるか」ということです。
7時間ベッドに入っていても、夜中に何度も目が覚めて朝からぐったりしているなら、「7時間寝たから大丈夫」とは言い切れません。朝起きても疲れている、休日に長く寝てもなんとなくだるい。そんな日が続いている方は、髪のためにも体のためにも、一度睡眠を見直してみてくださいね。
スマートウォッチの「深い睡眠」に一喜一憂しなくて大丈夫
最近はスマートウォッチで睡眠を測って、「昨日は深い睡眠が少なかった……」と気にしている方も多いですよね。睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、ノンレム睡眠はN1、N2、N3という段階に分けられます。N3が、一般にいわれる「深い睡眠」です。
でも、ここにも落とし穴があります。睡眠はN3だけで成り立っているものではありません。 「深い睡眠を増やさなきゃ」と数字ばかり追いかけるより、まず必要な睡眠時間が取れているか、そして朝に「休めた」と感じられているかを見てください。

毎日5時間しか眠れていないのに、深い睡眠の割合だけを気にする。それなら私は、まず「あと30分でも眠れないかな?」と考えてほしいです。美容のために新しいサプリを一つ増やすより、そちらを先に見直してみましょう。
「昔は夜更かししても平気だったのに」と感じていませんか?
若い頃は遅くまで起きていても翌朝普通に仕事へ行けた。それなのに最近は、少し寝不足になるだけで翌日まで引きずる。そんな変化を感じる方もいると思います。
年齢を重ねると、私たちの体のさまざまな働きは変化していきます。その一つとして注目されているのが「酸化ストレス」です。酸化ストレスとは、活性酸素などによる酸化作用と、それに対抗する体の働きとのバランスが崩れた状態のことで、白髪についても研究されている要因の一つです。
ただし、「40歳になった瞬間に抗酸化力が急に落ちる」「40代は20代の半分しか抗酸化できない」と一律に言えるわけではありません。紫外線を浴びてきた量も違えば、睡眠も食事もストレスも人それぞれです。
だから年齢だけを見て、「もう仕方ない」と諦めないでください。変えられない年齢を見るより、今から変えられる負担を見る。 睡眠不足、紫外線、食生活の乱れ、慢性的なストレス。ここは、自分で変えていけます。
頭皮の紫外線対策については、こちらの記事でも詳しくお伝えしています。

髪を内側から育てるなら「睡眠」と「食事」をセットで考えて
ここまで読むと、「じゃあ、何から始めればいいの?」と思いますよね。難しく考えなくて大丈夫です。高価なものを買う前に、まず普段の生活を見てみましょう。

「副腎疲労かも」と考える前に、まず疲れの原因を見て
疲れが抜けない、朝起きられない、夜は疲れているのになぜか頭が冴えて眠れない。こうした症状をインターネットで調べ、「副腎疲労」という言葉にたどり着いた方もいるかもしれません。
副腎は腎臓の上にあり、コルチゾールなどのホルモンをつくる臓器です。ただ、ここははっきりお伝えします。一般にいわれる「副腎疲労」は、現在の医学では確立された病気や診断名ではありません。 慢性的なストレスによって副腎が「疲れて働けなくなる」という考え方を裏づける十分な科学的根拠は確認されていません。
だからといって、「じゃあ、この疲れは気のせいなの?」という話でもありません。大切なのは「副腎疲労」という名前をつけることより、どうしてこれほど疲れているのかを考えることです。
ストレスが続いて眠れない。眠れないから疲れる。疲れて食事が適当になり、体調が整わず、また眠れない。そんなループに入っていないでしょうか。原因探しを続けるより、まずはどこか一つ、この悪循環を止めることから始めましょう。

眠れないなら、夜より「朝」を変えてみる
「眠れない」となると、「何を飲めば眠れる?」「どんなサプリがいい?」「寝る前のストレッチがいい?」と、寝る前のことばかり考えてしまいます。でも、睡眠を整えるなら、実は朝から始まっています。
朝起きたらカーテンを開けて光を浴びる。起きる時間を大きくずらさない。日中はできる範囲で体を動かす。夕方以降のカフェインを見直し、眠るためのお酒に頼らず、夜遅くまでスマートフォンを見続けない。こうしたことが睡眠を整える基本です。
全部やる必要はありません。まずは「朝起きたらカーテンを開ける」くらいからで十分です。小さな習慣でも、毎日続けることの方が大切です。
ところで、昨日何を食べましたか?
昨日の食事を思い出してみてください。朝はコーヒーだけ、昼はパンやおにぎり、夜は疲れて簡単に麺類だけ。忙しいと、そんな日もありますよね。
でも、それが何日も続いているのに「髪にいいサプリは何ですか?」と探しているなら、ここも順番を変えてほしいんです。
鉄不足が隠れていないか
鉄は、血液中で酸素を運ぶために必要な栄養素です。鉄欠乏と脱毛との関連についても研究されていますが、「フェリチンが低ければ必ず抜け毛になる」「鉄を飲めば髪が増える」と単純には言えません。一方で、実際に鉄が不足している場合は、その不足を適切に改善する必要があります。
月経量が多い、肉や魚をあまり食べない、食事制限をしている、疲れやすい、息切れや動悸が気になる。こうした方は、鉄不足がないか一度考えてみてもよいでしょう。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、30〜49歳女性の鉄の推奨量は、月経がない場合1日6.0mg、月経がある場合1日10.5mgとされています。赤身肉やレバー、貝類、魚、大豆製品などに含まれています。
ただし、抜け毛が気になるからと自己判断で鉄サプリを大量に飲むのはおすすめしません。気になる症状がある場合には、医療機関で相談してください。
亜鉛も必要。でも「多ければいい」は違います
亜鉛も、たんぱく質の合成や細胞分裂などに関わる大切な栄養素です。不足した場合には脱毛などがみられることがありますが、亜鉛をたくさん摂れば、その分だけ髪が増えるわけではありません。
30〜49歳女性の推奨量は1日8.0mgです。牡蠣、肉、魚介類、卵など、まずは普段の食事から摂ることを意識してください。サプリメントについても「念のため多めに」は避けましょう。過剰摂取によって、ほかのミネラルの吸収などに影響することがあります。

鉄・亜鉛より先に「髪の材料」を食べていますか?
そして、もう一つ忘れてほしくないものがあります。たんぱく質です。 髪の主成分であるケラチンは、たんぱく質からつくられています。
肉や魚、卵、大豆製品をほとんど食べていないのに、鉄や亜鉛のサプリだけを増やす。これでは順番が逆ですよね。
毎食完璧でなくて構いません。朝に卵やヨーグルト、昼は肉や魚が入った主菜を一つ、夜に豆腐や納豆を加える。まずは「炭水化物だけで終わる食事を少し減らす」くらいから始めてみてください。
髪にいい「特別な栄養素」を探す前に、髪そのものをつくる材料が足りているか。ここがインナーケアの土台です。
5時間しか寝ていないのに「白髪にいいサプリ」は、順番が違います
美容というと、新しい美容液を足す、サプリを足す、シャンプーを変える。どうしても「何をプラスするか」に意識が向きます。
でも、毎日5時間しか眠っていない。食事を抜くことが多い。ずっと疲れている。それでも「白髪にいいもの」を探しているなら、私はまず生活の土台を見てほしいんです。
眠れていないなら、眠る時間をつくる。食事が乱れているなら、食べる。ストレスが続いているなら、休む時間をつくる。髪にいいものを足す前に、髪をつくっている体への負担を減らす。 これも、立派な美容です。
抜け毛や不眠が続くなら、美容だけで解決しようとしないで
急に抜け毛が増えた、一部分だけまとまって抜けている、強い疲労感が続いている、動悸や息切れがある、何週間も眠れない、日中に強い眠気がある。こうした状態が続く場合は、「年齢だから」「ストレスだから」と自己判断せず、皮膚科や内科などの医療機関へ相談してください。
髪の変化から気づいたとしても、原因が髪だけにあるとは限りません。美容でできることと、医療で確認した方がいいことは分けて考えましょう。
白髪ケアは、お風呂の中だけでは終わりません
白髪が気になり始めると、「もっといいシャンプーはないかな」「黒髪にいい成分は?」と探したくなりますよね。もちろん、頭皮を清潔に保つことや、紫外線、ヘアカラーなど外側からの負担を減らすことも大切です。

でも、髪も体の一部です。睡眠を削ったまま、食事が乱れたまま、ずっと疲れたまま。その状態で外側のケアだけを頑張っても、髪を育てる土台までは整いません。
白髪には遺伝や加齢など、自分では変えにくいこともあります。だからこそ、変えられることから変えていく。 よく眠る。きちんと食べる。必要な栄養を不足させない。そして、正しいヘアケアを続ける。
白髪ケアに、たった一つの「魔法の成分」はありません。外から整え、内側から育てる。 今日全部を変えなくてもいいんです。まず今夜、いつもより少し早く眠る。そのくらいから、これからの髪のためのケアを始めてみてください。
毎日のホームケアも見直したい方は、白髪ケアの基本をまとめたこちらの記事もあわせてご覧ください。

水野志音から「10年後の髪も好きでいたい」あなたへ
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